邦画

2019年6月 5日 (水)

映画 刀剣乱舞


※初見の感想です

※この記事にはネタバレが含まれています


オンラインゲーム開始時に刀剣男士の姿を拝見し、好きだ~となりつつ、入り込んだのは基本ほっこり日常を描いたアニメ「刀剣乱舞―花丸―」からでした。そこからおおよその流れでいうと、、

ヌードルストッパーくじ→

コラボカフェ(刀剣茶寮)→

コラボナイターの様子をニュースで見る→

からのミュージカル気になる→

映画鑑賞→

刀剣鑑賞←今ここ


知っているけれど詳しいわけでもない…といった感じでしょうか?色々見たり聞いたり教えてもらったりしながら、ファン…もとい審神者によって膨らむ世界観に奥深いな~と感嘆している最中です。

とはいえ、映画を観るにあたっては、いち映画好きとして観に行きました。なので感想もファン寄りというよりは、そういった視点で書いております。ゆえに素晴らしいところは素晴らしい、そうでないところがあるとしたらそうではないといった調子です。でも、作り手が真剣に取り組んだな…と感じられる作品についてはこちらも(良し悪し含め)綴ることが一番の礼儀だと私は考えているので、今回も

冒頭数分、大河ドラマのような印象を持ちました。建物の雰囲気、兵の装い、出演者等々期待していた通りの迫力ある描写で魅せ方も素晴らしい。そして意外にもリアル描写の中での時間逆行軍の恐ろしい雰囲気が良かったのですよね。私はヒーローが際立つのは敵役によるところも大きいと思っているので、これは期待できるなと興奮しました。

そうした中での男士たちの印象ですが、、、正直、最初は強調され過ぎて見えてしまいました。全体的に色調調整の無いそのままの背景に見える中にあって男士のまとう衣装や頭髪の濃い色味が強く見え過ぎているような。デザインや作りは素晴らしかったのですけれども。あえてそうしたのかもしれないけれど、私個人の考えとしてはもう少し淡い感じにするか、もしくは背景やら全体の色調を調整してもよかったのかもなと(北野ブルーの感じとか木々の色をにじませるとか)。だからなのか、日本号様のあっさりとしたグレーの内番衣装がとても自然に見えましたね。

あと同じような意味でいうと、お社のお狐さまの雰囲気も可愛いらしすぎるかなと(こういう出演じゃなければ本当に可愛いのですけれども)。つまり、1つ1つは素敵だけれど、大河ドラマのような実写の中の2次元的要素─それをどう捉えるか、、それは個々の好みかもしれないと思いました。あえて現実過ぎないようにしているのかなとも感じられたので。

と、見た目に関してはこんな印象を受けたのですが、出演者の演技に関しては皆さん素晴らしかったです(それを受け違和感も解消)。


織田信長役の山本耕史さんの肩の動かし方や目線の配り方、羽柴秀吉役の八嶋智人さんの明暗含む演技等々……。出演場面が多い少ないに限らず皆さん本当に良かったですね。

そして男士。登場した際の違和感を打ち消してくれたのは彼らの真剣な演技に他なりません。お若いのに達観した様子とか、なかなか普段使わないであろう言葉遣いの発し方とかも様になっていて、おどけたり気をゆるめたりの具合も良かったです。さらに、審神者役の方の静かだけれど圧倒的存在感やお声の美しさも大変素晴らしく、三日月様との会話をいつまでも聞いていたいと思いました。

で、その三日月宗近様。

いや~鈴木拡樹さんが三日月様を演ずるのは必然だったと思わせる名演でした。凛々しくもありたおやかでもあり、儚げで強くもありほっこりした雰囲気も…無限。

舞台からということで(そちらは見たことないのですけど)研鑽を積んで満を持しての今という感じ。何かのインタビュー記事にて舞台と映像での表現の違いを語られていましたけど、所作とか全てにおいて気を配られてもいたようで、そういう努力が自然と滲み出ていましたね。目線の配り方も凄くて、審神者との別れの際のギリギリまで姿を見つめようとする姿は、それだけで彼がいかに審神者を思っていたかが感じられ息をのみました。そして何人も触れられない雰囲気をまとっているからこそ傷つく姿の衝撃も大きかったです(回復薬のポーションをふくむ姿の美しさよ……)。

ちなみにもしこの三日月様と私が実際に対峙したとしたら、同じ空間にいていい存在ではないなと妄想ですらしょんぼりしてしまいました。。


1人1人についての印象も少し。

山姥切国広様-荒牧慶彦-

布を被っているので殺陣ではきっと大変な思いをされただろうと想像。けれどもその布をも魅力にする演技力。写しということだからか常に影を感じさせる表情をされてました。

薬研藤四郎-北村諒-

不思議な存在感。大きな瞳をされているからこそ表情のインパクトが強く、きちんとした演技でないとブレを感じてしまいそうなのにそれもなかったです。衣装デザインから幼く見えそうだけど演技力で打ち消し。

へし切長谷部-和田雅成-

耐時間遡行軍のスペシャリスト感。主命を果たすという意思の強さが終始感じられました。常に厳しさがあったからこそ三日月を助けに来た際の安心感が凄かったです。花丸の印象とはだいぶ違うキリッと感。

日本号-岩永洋昭さん-

素晴らしい日本号でした。力強さと(色気と)おどけた姿のバランスが特に良かったです。頼れる兄貴であり大黒柱のような雰囲気も。衣装も似合っていましたね。槍の扱いの迫力も。

骨喰藤四郎-定本楓馬-

記憶を失っているので役を作りすぎず~とパンフレットにておっしゃられていた通り初々しい感じがよく出ていました。そして見た目の儚げ感。う~ん美しい。知ろう、知りたいという姿勢が見えたのも良かったです。

不動行光-椎名鯛造-

大変難しい役柄だと思います。愛された過去を大切な宝物のように心に抱いている様子が垣間見られて泣けました。ストーリー的にとても辛い役柄。普段ちゃらっとしてる感じを出しているからこそ反動が大きい。上手く表現されていました。

鶯丸-廣瀬智紀-

よくぞここまで鶯丸の雰囲気、刀剣男士の雰囲気を出してくださったなと。やり過ぎるとわざとらしさが出そうなのに、ホントに上手に醸し出されてましたね。なりきるとはまさにこのこと。(個人的に衣装のポンポンがスキ)

無銘・倶利伽羅江-土屋神葉-

刀剣乱舞シリーズには出ていない男士とのこと。なかなか斬新なストーリーの組み立ての中、演ずるのは難しかったのではないでしょうか。刀の姿が映るシーンはやはり切ないものがあり、だからこそ彼が姿を露にした時の雰囲気のまっすぐさが清々しく、仲間になったことも1つの救いのように思いました。

ざっと印象を記しましたけど、皆様個性があり魅力的でした。



ストーリーについても…の前に、、私は伏線考察とか苦手でして(歴史にもうとい)なので難しいことは語れませんです。それをふまえた上での感想。


よく練り上げられていて、そして結構シビアでした。

タイトルからして花丸のようなわけにはいかないよな~と自覚しつつ、こういうまとめ方はやっぱりストーリーを作り上げる力量のある方が書けるものだろうなとも。強弱、静動の巧みさ。とはいえ、身内同士でのいざこざ、仲間割れの話しは少々安易だったようにも。三日月様がかなり孤立されていたように感じられたので、もっと男士たちは相手の心をくみ取る力があるはずなのでは?と、違和感を感じたのも確か(特に長谷部のイライラ感が…それともデフォなのかな?)。でもまあその流れが後半の大いなる救いを強めたようにも。

あと、この世界観だからこそというのか、男士それぞれにそれぞれの記憶があるとして、それが自己のみで完結しないことに(歴史のただ中にあるといった感じ)彼らの特殊性を感じました。特に、長い長い年月を過ごしたがゆえ多くの記憶を持つ三日月様を思うと切なくなりましたね(あのほんわか雰囲気には平安の世を知っているという他に達観という要素も含まれているのかもしれないな……)。

それに関連して心打たれる名シーンも幾つかありました。

印象的だったのは欄丸様と不動行光の関係性。これは見ていて辛かったですね。…きっと不動は欄丸様がいつもどんな思いで自分を所持していたか感じ取っていただろうし、別れを感じさせるシーンによって彼らは刀剣なんだ─様々な出来事を見てきたんだ─と改めて教えられたなと。なので、やはり三日月様にも繋がり、ゆえにあらゆるものの儚さを知るその表現に小さな草花を用いたことはとても心に残り切なくしみるシーンでした(あれ?書きながら目から水が)。

花…というと、桜の花びらのインパクトも強かったですね(ゲーム由来ですよね)。舞うスピードの違いによってその場の様子を柔らかくも厳しくもするという演出の妙。

全体の印象としては、少人数の男士でこれだけ物語が壮大になるのだから、ほんとに刀の歴史は奥深いですし、無限の可能性を感じました。


気になったことも幾つか。

小林靖子さんは刀剣乱舞の世界に女性を~という意図で可愛らしい女の子を登場させたらしいのですけど、私はその辺りを深く考えたことがなかったなと。この世界観に参加する割合の多さということでの登場なのか、他に意図があるのか。まあ男性のみ、女性のみの世界があっても別にいいか、な。

で、実は一番気になったのが時間遡行軍が登場する際の効果音の大きさでした。私が耳が弱いというのもあるでしょうけど、それにしても大きかった(映画館によるのかな?)恐ろしさを表現したかったのは理解できるのですけど。

それとエンディング曲ですが、参加されている面々は大変贅沢なんですけど、本編が静かに終わる感じだったので静かなインストゥルメンタルでも良かったかもです(個人的見解)。


ということで、気になる箇所は幾つかありましたけど、人気ゲームを基盤にしているからこそ難しい部分が沢山あるのではないかなと。ゲームやアニメ、舞台等のイメージがある中での実写映像化とか、知ってる人も知らない人も見て楽しめるようにするとか。そういった点ではなかなかよくできていたと思います。

初見なので何度か見るとまた印象も変わるかもですが、今のところはこんな感じです。


実写化というのは本当に色々と難しいとも思うのですが、予想以上によくできていてほっとしました。…それはやっぱり演者と製作陣の熱意が伝わってきたのも大きかったですね。大河を感じさせるスケールの大きさも良かったです。続編~というか、この雰囲気なら様々なストーリーでいけるかもしれないという…やはり無限の可能性を感じずにはいられないのでした。


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パンフレット

ん?ぬくぬくスペースからおもちちゃんが出てきて、る?

「もち、もち、もち」

2012年1月10日 (火)

重力ピエロ③

起こる事件の犯人が誰か─というよりも、それぞれの心の揺れや心の叫び、誰かを想う気持ちなどに感情移入して見ていました。


私としては、徐々に真実に近づく泉水もさることながら、兄に救いを求める春の気持ちも見ていてとても辛かったです。。。


後に個々に極論に至る2人ですが、原作共々本当に名作だな〜と思いました。

ところで、今回は映像→原作の順で見たのですが、この順番で正解でした。


同じ伊坂幸太郎さん原作の【アヒルと鴨のコインロッカー】は逆に原作→映像の順だったのですが、少し後悔。原作を知っているとどうしても、この人はああで…あの人はこうでこうなって…と分かってしまっているので正直入り込めませんでした(アヒルと鴨〜は特に人物配置が凄いので・・・どちらからでも、え?!となるとは思うのですが)。


ちなみに【ゴールデンスランバー】は映像からでしたが、こちらはそれだけでは物足りなくて慌てて原作を読みました(汗)。

個人的な感想なのでご参考までに。


さて、映画のラストについては賛否両論あるかと思います。

私は、、、良い悪いは別として、こういう終わり方もありかな...と感じました。

因果応報という言葉がありますが、おかした罪が巡り巡ってかえっていったようにも思いますし、春と泉水にもいつか答えが出るようにも思います。


現実の世界でも人はそれぞれ何がしかの重力を背負っていて、振り切るためには何が大事か・・・じっくりと考えさせられる作品でした。2009年、森淳一監督。

That's all.

2012年1月 7日 (土)

重力ピエロ②

それにしても、出演されている俳優の方々は子役を含め皆さん本当に素晴らしかったです。


別の番組などで姿を見ただけでも、すぐにこの作品を思い出してしまうような・・・(印象の残り過ぎとか、そういう意見もあるかもですが)。


例えば小日向文世さんを【GOEMON】やCMで見ても、春と泉水を「悪いことだ」と言いながらまっすぐに見つめた眼差しや、鈴木京香さんの凛とした佇まい、加瀬亮さんの温和だけど頼りたくなる雰囲気、岡田将生さんの儚げで不安定な雰囲気など、本当にぴったりでした。

一途?な吉高由里子さん、友人役の岡田義徳さんもいい味を出していましたね(ちなみに岡田義徳さんは色んなところで色んな役でよく拝見しますが、私は昔からかなりの名優だと思っております)。


改めて特筆すべきは、加瀬亮さんと岡田将生さんのタッグでした。
このお2人だからこそ成功した部分は多かったのではないかと思います。


中でも泉水が、渡部篤郎さん演ずる葛城のマンションから出てきて茫然と立ちつくし、その後歯をくいしばるシーンは私史上最高ともいえる名演で、これ程悲しい状況ってあるかしら──と震えたくらいでした。


ドラマ『ありふれた奇跡』などでも温和な青年を演じられていた加瀬さんですが、北野武監督作品などでは正反対の鋭い役を演じられているようで(まだじっくり見てはいないのですけれど)そのあまりに違う雰囲気に、役者とは本当に凄い・・・とため息が出ました。


岡田将生さんの、ニッと笑う姿やダイニングでの冷たい眼差し、炎の中での実父との対峙シーンなども、心に闇を抱えている…だけど兄に対しては心を許している、そんな揺れる青年のイメージがよく出ていたと思います。


映画のエンディングテーマを歌っているS.R.SのSometimes-B.C.-(←こちらは日本語ver)のPVにも春は出演していますが、これがまた演出、映像等含め全体的に素晴らしくて、炎の浄化を自分に向けるところは切なくて見入ってしまいました。


「変わりたいんだもっといい奴に」という歌詞は、聞くたびに私にも当てはまるな...と感じます。。。

2012年1月 4日 (水)

【重力ピエロ】

感想を書こう書こうと思いながら、なかなか書けなかった作品です。

家族、血縁、存在意義…本当に色んなことを考えさせられました。

まず何より予告も含めて印象的だったのは、

「春が、二階から落ちてきた」

という、奥野泉水役・加瀬亮さんの抑揚をおさえた声と自然な表情、それと共に降りてくる、奥野春役・岡田将生さんの2人の姿でした。

特に降りてくる姿は室内からのアングル、外からのアングル共に姿勢が美しくて「こういうふうに降りて」と言われたのかどうか分かりませんが、それだけで何か訴えてくるような感じがありました。


グレーなトーンの中で、悲しげな音楽と共に映る炎の映像のオープニングも心にぐっときました。

なんというか、、、映画全体が薄い霧で包まれているようなそんなイメージがあって、それはこの映画の中心となる〈奥野家〉が、はからずも抱えることとなった‘重力’を見る側が常に意識していたからかもしれません。。。

とても、重いテーマを抱えた映画だと思います。だけど暗いのではなく、シリアスでもなく、じわじわと悲しみが心にしみる…そんな不思議な雰囲気もありました。


言葉の1つ1つも大事というか深い意味があって、例えば兄弟の春と泉水の名の共通点を母役・鈴木京香さんが語るシーンなどは温かくも切ない願いが込められてましたし、父役・小日向文世さんの「俺たちは最強の家族だ」の台詞も強い意味を持っていて、思わず私は涙が溢れてしまいました。本当に特別な意味を持った言葉だな〜と思いました。空を見上げて、なんの迷いも無いかのように1つの命の誕生を決断した父親だからこその言葉…。


更に胸に迫ったのは、二段ベッドで子供時代の春と泉水がふざけあうシーンでした。

泉水が口にするのは子供には似つかわしくない言葉なのですが、それをきいた春はケラケラと笑います。その無邪気さが逆に切なくて、ここでも号泣してしまいました。


もうですね、、、映画館で見ていたらどうなっていたのかしら?と心配になるくらいの涙、涙で、興行的にはなんですけれど、お家でDVDで良かったな〜と思っています。


2010年12月25日 (土)

GOEMON③

映画のはじまりは、華やかな城下町が登場したりコミカルなやり取りもあったりで明るい印象がありました。でも連判状が出てきた辺りから、物語は一気にシリアスになってゆきます。

そうした中で常に見えていたのは、登場人物たちが、もがきながらも懸命に進んでいく姿。

友情や、一途な想いも終始一貫していて感情移入しやすかったです。

ストーリーは前回の【CASSHERN】よりも分かりやすいのではないでしょうか。。。

それにしても、出演されている方々の豪華さには驚きました。

メインで出ていてもおかしくない方が、時間の長短に関わらず登場しています。

友情出演というものなのか、監督やストーリーに惹かれてなのかは分かりませんが、皆さん素晴らしい演技をされていました。ただ、その後も何かの形で登場するのでは?と思い、ずっと待ってしまった感じも・・・

重要な役どころには、実力と個性を兼ね備えた方たちも登場されていて、中でも秀吉役の奥田瑛二さんには溜息が出ました。「箱であろう南蛮の・・・」という時の声の発し方といいイントネーションといい、さすがです。

半蔵役の寺島進さんはカリスマ性充分で、忍びについて語る静かな口調が心の奥まで響きました。

個人的に更に書かせてもらうと、利休役の平幹二朗さんは、昔、松本清張さんのドラマで拝見して以来凄い方だわ...と思っていたので、変わらぬ安定感に脱帽。要潤さんの鋭い雰囲気も素晴らしかったです。

書ききれませんが、今回の映画での配役は、どなたも素晴らしかったと思います。

それは有名であるなしには関係なく、民衆にいたるまですべて。例えば、踊り子さんたちはセクシーで・・・小判をもらう人々も表情豊かで・・・家臣たちも厳しい顔をされていて・・・皆異世界の住人に、ちゃんと見えました。なので、冷めることなく最後まで集中して見ることができました。

エンドクレジットに名前がびっしりと出ていたことにも好感がもてます。本当に沢山の人々の力で映画はできているのだな~と実感。。。

さて、物語の佳境―

数々の出会いと別れを繰り返し、戦に入った五右衛門の口から、真の願いが家康に告げられます。

争いのない国、太平の世━━

それが現実となっている今の日本は幸せなんだ・・・と、改めて思うことができました。

その後の、螢が一斉に舞う風景はとても幻想的で、それを見ながら絶景とつぶやいた彼の姿が切なく心に残ります。。。

最後にもう一言、要望というか感じたことを・・・。

監督によると、テンポアップのためにカットしてしまったシーンが沢山あるようなのですが、私は正直、カットされていないものが見たかったです。

見る側が作り手側の気持ちをくむのも大切ですが、カットされていないほうが全体的に納得しやすく、流れも良かったのではないでしょうか・・・(つまりは、もっと見たかったということでもあります)

愛と忠誠心、自由と欲望そして運命と、様々な要素が含まれた映画「GOEMON」は、あらゆる面で斬新で美しく、そしてどこか儚さを感じさせる作品でした。

That's all.

2010年12月18日 (土)

GOEMON②

舞台は安土桃山時代。・・・といってもストーリーを含めセットや衣装など大胆な発想がされていました。


全体のイメージがかなり現代的で、言葉づかいなど(おや?)と思う部分もありましたけど、ファンタジーの印象もあるせいか、あまり抵抗は感じませんでした。

そうした中で私が特に良いなと思ったのは天井の高いお城の内部です。どの部屋も威厳と荘厳さがあり、木造建築というよりは石造りの印象が。

....プロダクションノートによるとアジアでありながらギリシャやローマでもあるとのことで、やはりと納得。かなり自由に見えましたが(オルゴールを除いて)その時代になかった素材は使わないなど、決められた部分もあったようです。

衣装や髪型も個性的でたいへん美しいものとなっていました。


・・・それにしても、すべて想像の物語でないとしたら、どこまで変えてゆくかは難しいことかもしれないなと思いました。時代も人物も史実として残っているのならなおさらではないでしょうか。まったくのオリジナル作品でもよかったかもしれません。戦国の世のどこかの誰かの物語......でもこの作品の大胆な仮説も嫌な感じはしなかったので、なんともいえませんけれど。。。


さて、ストーリーは織田信長暗殺の真相をベースに繰り広げられていきます。秀吉、茶々、三成、家康、才蔵そして五右衛門と、魅力的な人物が次々と登場する中で印象的なシーンが幾つも出てきました。


まずは才蔵と五右衛門のアクションシーン。

速いスピードの中でフラッシュ線が出るような箇所は漫画のような雰囲気があって(あ、またこの独特な演出!)と思わず反応。「CASSHERN」で初めて見た際インパクトが強すぎて有りか無しか混乱したのですが、今回は少なめでちょうどよかったような気がします。

才蔵役の大沢たかおさんと五右衛門役の江口洋介さんもたいへん魅力的でした。アクションに関してそれぞれに研鑽を積まれたようで、強い忍びとしての違和感もなかったと思います。悪役やヒーロー、静と動と、その時々に合わせて演じてみせる俳優の方々の力は本当に凄いですね。

恐ろしく強いとされる才蔵と互角に戦ってみせることで五右衛門の強さもよく分かりました。そしてこの二人が一目置くことで半蔵の強さも際立ちました。

...この半蔵によって育てられた二人の青年期も印象的です。特に命を受けて茶々さまを守ることとなった五右衛門には深い優しさが感じられました。例えば刺客を倒して手についた血で布団を汚さぬように、袖で覆って掛けなおしたり、受けた傷を悟られぬよう茶々さまと淡々と会話をしたり。。。

―ちなみにテレビ放送ではこの部分がカットされていて、ここでは才蔵に対する想いも話していたので残念でした。


.........その後もラストに至るまで茶々さまと五右衛門が互いを想う気持ちは随所で見られます。見つめ方や呼吸、身を挺して守る姿などで。。。


この映画ではパンドラの箱など、要となるものもいくつかありました。そのうちの1つに、信長さまから与えられた双刀があります。

青年期の五右衛門が才蔵と別れる際、その片方を餞別として渡すのですが、互いに握り締めあいながら真ん中で割るシーンには胸が熱くなりました。


それぞれに<天下><布武>と刻まれてあることによって強い絆も感じられ、心に残る演出だったと思います。演じられていた若い俳優の二人も素晴らしい表情をされていました。立ち位置というか、カメラワークも良かったです。


この映画では、いいポーズだわ・・・と見入ることが度々あり、登場人物を‘魅せる力’のある作品だと思いました。

2010年12月15日 (水)

【GOEMON】

数年前に紀里谷和明監督「CASSHERN」の紹介映像を見た時、不思議な映像だわ・・・と思いました。アニメでもなく完全な実写でもなく、でもそのどちらも融合させて更に何かをプラスしたような不思議な映像・・・。アクション色が強いような気がして見に行くまでには至りませんでしたが、心の中で気になる作品として保留となっていました。


しばらくたったある日、どこかで「結構よかった」という言葉を耳にしました。そして見るに至ったのです。結果、よかった・・・と私も思いました。


「GOEMON」はその紀里谷監督の作品です。前回作品のイメージがあったので期待して見ました。賛否両論あるようですが私としては大切な映画がまた一つ増えたという感じです。


まず何より、幻想的な映像が圧巻の一言でした。画面全体を彩る独特の色彩。・・・・・どこかでメイキングの様子を見たのですが、撮影時は普通に見えていたものが色をつけていくことによっていっきに別世界の雰囲気を醸し出してゆきます。この色使いこそがこの監督の素晴らしい個性であり才能ではないでしょうか。

照明のあてかたも、まるでレンブラントの光と影を思わせるような、、、暗躍する人々の闇の部分を際立たせているように感じました。北野武監督の北野ブルーが五感を刺激するように、全体の美しさに刺激を受けながら夢中で見ていました。劇中音楽も素晴らしかったです。

この、夢をそのままおこしたような映像をつくりあげているのがデジタル技術です。「CASSHERN」の三倍かかったとのことで、その作業の大変さを思うとため息が出るのですが、ただ、見ている側としては人物がスピードに乗るあたりなど時折「ん?」と感じる部分も正直ありました。でもそれが技術的なことでそうなのか、あえてそうしているのかは分かりません。私にはそのような部分も1つの‘味’に感じられて抵抗なく見られたからです。


ただしこれはどの作品でもそうというわけではありません。ああ、台無しだわ・・・という場合もあるので、それを感じずにすんだのは良かったです。

CGに関しては素晴らしい風景や建築物が出るたびに、どこからどこまでがそうなのだろうと考えずにはいられませんでした。


印象としては実際に存在しているのは出演者の方々と彼らが触れるもの、あと身の回りの空間のほんの僅かな部分だけのようにも思えましたが、よくみるとそうではないようにも...


DVDに入っていたプロダクションノートによると、なんと50%以上はセットを組んでいたとのことです。。。それを知ったとき、私はホッとすると同時にCGの〔負〕の部分についても考えずにはいられませんでした。

...昔、ハリウッド映画で代役として描かれたCGが危険な場面以外でも動きを見せ、役者本人がクレームをつけたというような話を聞いたことがあります。すべてをつくりあげることができる技術ならではの危険性かもしれません・・・役者さんもセットも何もなくても、あたかも現実のように映像をつくりあげることができる技術。

「GOEMON」でも超人的な映像が随所に見られました・・・。それはいっけんデジタルすべてのようにも見えます。けれど映画「CASSHERN」では、ラストのあたりでシンプルな実写の世界が出てきました。


それを見たとき凝縮された映像からふと解き放たれたような、自分の生きるリアルな世界の素晴らしさに気づかされたような感じがしました・・・。

ノートでは「(決められた予算内で具現化するとなるとデジタルが必要)」と監督の言葉がのっています。もしかしたら実写をとても大切にされている方なのかもしれません。。。

なんにしても、どれほど技術が進歩しようと「CASSHERN」「GOEMON」で、作り上げることはできないと思える役者の皆さんの素晴らしい表情を見ると、超人的な部分を補うCG、そして実際に組み上げられたものと、実はうまくバランスがとれている作品なのではないかと思いました。

2010年12月12日 (日)

ハル⑤

この映画に、そこはかとなくラブストーリー的な雰囲気が漂っているのは、二人が恋人になれるであろう要素が成立していたからでしょうか・・・

前回記したように匿名性の強いネットでは相手の情報が分からないことが多いので、二人がまったく違う年代や生活という可能性もあったわけです。。。でも、何もかもが違っていても交流を深めた二人なら、また違った素敵なストーリーになっていたかもしれません。

私自身は今年ブログを始めたことによって、いつも以上にネットの世界を見たように思います。

情報を得たり、利用する人しない人の情報格差など、、、様々なことを感じました。ただ、それと比例して心も充実していったかというと、そうではなかったようにも思います。いくつかの海外を苦労しつつも実際に見に行ったものとしては、百聞は一見にしかずだわ・・・と感じることも多く、やはり風をじかに肌で感じることを基本として、この文明の利器をなんとか活用できたなら・・・と思います。

映画の感想とずれました。。。(ハル)は、ネットについて色んなことを考えさせられた作品でもありました。

美しい音楽とともに、心に沁みる作品です。

That's all.

2010年12月11日 (土)

ハル④

2010年現在、インターネットの世界は無限に広がっているように思えます。家にいながらにしてありとあらゆる世界を見られる夢のツールのような・・・

私はよくwikiを利用します(最近はリークスとやらで騒がれていますが...)そしてたまにブログを見に行ったりします。同じ映画でも様々な感想があって、それがとてもよく書かれていて自分のブログの貧弱さに凹んだりもしますが、楽しいです。

ネットの世界を歩くとそこには沢山の心が存在しているように感じます。その心の主の姿は見える場合もあれば見えない場合も。どこで何をしているのか、性別や年齢が分からないことも殆どです。匿名性の強い世界だと感じます。

この、映画「(ハル)」でも(ほし)は最初のころ自分を偽っていました。でもあるきっかけで正体がばれたのちは、二人の交流はゆっくりと深まっていきます。

そしていよいよネットだけではない現実の世界での交流が始まります。ただそれは<確認>という感じではっきり会えるといったものではありまん。

・・・私はこのシーンを見ながらこんなことできるのかしら?と思いつつも、瞬く間にすぎてゆく時間の中で、ハンカチを振りあいビデオを撮りあい、互いの姿を確認しようとする姿にとても心打たれました。幻のような存在が現実にいたという真実。。。二人はこの出来事を早速メールで語り合います・・・不思議だと。

その後(ローズ)を交えて起こる心のすれ違いを経て(ほし)が、抱き続けてきた思いとともに本格的に動き出します。乗車した新幹線の車窓の風景とともに、あの美しい音楽とともに、何度も互いを撮りあったビデオ映像が再生されるのですが、とてもせつなくなりました。アップやスローでなんとか相手のことを知ろうとする気持ち...もっと知りたい!という気持ちが強く感じられたからです。。。

そうしてむかえたラストは、印象的な「言葉」とともに、とても爽やかな気持ちになりました。

2010年11月22日 (月)

ハル③

言葉に続いては音楽です。


(ハル)で流れる音楽はシンプルですがとても印象的です。ピアノやマリンバ・・・でしょうか、様々な音色で奏でられています。


私は、この音楽がききたいために映画を見る時すらあります。

印象的な場面をいくつか挙げていくと、まず最初は映画フォーラムでの(ハル)の〈顔のマークのようなものはなんですか?〉の問いの後に、オフィスを背景にして流れてくる音楽。明るく、そしてどこかせつない旋律は日常の色々な出来事をそっと表現しているように感じました。
この時深津絵里さんが画面を見ながら微笑むのですけど、その表情もとても素敵です。


次に、戸田菜穂さん演ずる(ローズ)が登場する場面。セクシーな感じの音楽はどこかコミカルで面白かったです。彼女が初めてフォーラムに出てきた時の(ハル)の反応にも笑いました。

そして、一番心に響いてきたのが映画の終盤に雨の中を車で走る(ほし)が過去の辛い経験をメールで語りだす場面。。。優しく悲しい旋律は、思い出すだけで涙が出てきてしまいそうです。


(ハル)にはアメフト中心の生活が変わってしまったことでおきる様々な変化
(ほし)には職を転々とする原因となった恋人との思い出。


そんな2人の日常を包み込むように流れる野力奏一さん佐橋俊彦さんの音楽は、本当に素晴らしいと思いました。

ちなみに私はとても下手ですがピアノを弾くので、奏でてみたいわ・・・と思いながらいつも聞いています。サントラや楽譜がほしくて探してみたこともありますが、10年以上昔の映画だからでしょうか、見つかりませんでした。Amazonにはあるようですけど、私はネットで買い物しない派なので、いつものように縁があれば手元にくるだろうとのんびり構えています。(ピアノの上手な方なら絶対音感であっという間にとらえて弾いてしまうのでしょうけどね・・・)

映画における音楽の存在はとても大切だな・・・と強く思いました。

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