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2012年10月

2012年10月31日 (水)

銀河鉄道の夜⑩

共に旅した人たちが次々と去ってゆき、2人きりとなったジョバンニとカムパネルラ。。。


持っていた切符が違うことからも察するように、2人にもまた別れの時がやってきます……


この【銀河鉄道の夜】という作品は私にとって、多分、人生を左右する程に重要な作品となっていて、たいへん思い入れが深く、いつも以上に(下手ながらも)丁寧に話しを追いすぎてしまいました。

本当は作品の最後にして最大の山場である“石炭袋”をこと細かく書きたかったのですが……私の力量ではとても伝えきれるものではありません。それほどに切ないシーンとなっています。


悲しくて悲しくて、映画を見た時も強いショックを受けました。


うろ覚えですが、映画の紹介CMで流れたジョバンニの友の名を叫ぶ声…あれほど胸をつくシーンはありません。。。

実は私は人生において大切な人たちとのふいな別れを何度か経験していて、今でもこの映画の別れのシーンを見るのは大変辛いです。

いえ、私に限らずきっと多くの人がその人生において様々な別れを経験しているのではないかと思います。


人間って悲しいな…どうして別れがあるのだろう…私は時々そんなふうに思います。


自然の美しさ、奇跡的な存在である生命の素晴らしさ、宇宙の神秘、時の流れ………銀河鉄道の夜はそういった悲しさを静かに、美しく、そして力強く教えてくれていると思います。


さて、映画のラストでは明かりの灯った牛乳屋が表しているように、ジョバンニを取り巻く雰囲気が少し変わっています。と同時に辛い現実が待っていました。それでもジョバンニはカムパネルラのこと、光と影、全てを受け止めるかのように力強く走りだします。


流れ出すエンディング曲と共に聞こえてくる賢治製作の口語詩“春と修羅”の序の一節...いかにもたしかにともりつづける銀河交流電灯のひとつの青い照明です...

小さな小さな粒の集まりである人間とは世界とは──ある意味全て幻なのかもしれません。

温かく、そして切ない物語。


後世にずっと語り継いでゆきたい名作です。


That's all.

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2012年10月15日 (月)

銀河鉄道の夜⑨

3人が登場したあたりから宮沢賢治の世界に更に深く入り込んでいくような気がしました。


青年の「なにがしあわせかわからないです」という言葉から始まり、ジョバンニの嫉妬のような少女への思い。


そして少女が語る蠍の火にまつわる話し。「どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう」…漆黒の闇に浮かび上がる蠍の赤い火は、恐ろしげな雰囲気をまといながらも悲しいお話しでした。

そうしているうちに、やがて汽車はサウザンクロスに到着します。

汽車に乗る多くの人々の目的地である場所。3人もまた降りなければなりません。


僅かな間でも共に旅した人との分かれ……男の子は降りるのを嫌がります。少女も後ろ髪をひかれるような表情。けれど「天上へゆくとこなんだから」という青年について汽車を後にします。

このシーンを見ていると、現実世界の“袖摺り合うも他生の縁”ということを考えずにはいられません。まったく別の人生を歩みつつ今同じ場所にいる人々…何をどうしたって会わない人は会わないわけですから、どんな形であれ同じ場所にいるというのは不思議な巡り合わせなのかもしれませんね。。。


そして映画の中ではっきりと示される銀河鉄道の意味。死をむかえた人々を天上へと導く列車。


長い長い人々の列が南十字へと向かいゆっくりと進んでゆくのでした。

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2012年10月11日 (木)

銀河鉄道の夜⑧

銀河を走る鉄道に、初めて猫の姿ではない3人が乗り込んで来ます。


青年と少女と男の子。


カムパネルラと同じように、その体もまた濡れていました。


でもカムパネルラと違うのは、3人がそこにやって来るまでの情景がはっきりと映し出されることです。


淡々と語る青年の言葉とは裏腹に、それはあまりに悲しいシーンでした。。。


けれどその後の、座席に静かに座る子供たちの姿を見ると、辛い終わりを迎えた後にある世界が安らかで・・・私はホッとしつつ、こうであったならといつも思うのでした。。。

その後、香りの良いリンゴを分け合った後現れるトウモロコシ畑。

ここがなんというか、、、とても不思議な映像で、CGの先駆けのような・・・(何か別の技術のような感じもするけれど)初めて見た時、かなり衝撃を受けました。


あの広がり感、、、今見ても不思議でなりません。


で、聞こえてくるのが『新世界交響楽』日本語詞でいうと「とーおきーやーまにー」のあの曲。


これがもう心のキャパシティを越えるというか、切なさにつぐ切なさで、なにもかもがグッッとくるのでした。

ところで、今年私は銀河鉄道のスタッフが贈るファンタジー【グスコーブドリの伝記】を見たのですが、(まさか再びこの世界観が見られるとは思いもしなかった!のですが)この3人がなんと、登場しております!あっという間でしたけれど、見つけたとたん「あっ!」と思いました。

なんといいますか・・・人生には‘これだからやめられない’と感じる瞬間が時々あるものです。


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