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2012年5月

2012年5月22日 (火)

銀河鉄道の夜③

幼く見えるジョバンニですが、学校帰りに活版所で働いています。

そこで見られる、動き続ける機械の音や響く電話のベル、箱の中に入れる活字の音などなど…暗い室内で淡々と続くある意味での静寂が心に迫り、数多くの名シーンがある中で、私は昔からこれらをじっと見つめてしまうのでした。。。


この活版所で稼いだ大切なお金は少年らしいもの〜例えばお菓子やオモチャなどに使われるのではなく、パンやミルクに入れる砂糖に使われます。それもまた胸を打ちました。


そして仕事を終えての帰宅道、映し出されるのは美しい街並み・・・でも彼の家はそこにはありません。


街外れにある自宅では体が弱くてベッドに横になっている様子の母。その優しい声だけ聞こえてきます。


…このシーンは本当に切ないシーンだなぁと思います。学校での孤独、仕事、暗い我家……続く淋しい状況を柔らかな絵がかろうじて温めてくれているような、、、そんな感じもしました。


その後、姉が残していったスープを飲みながらカムパネルラと過ごした楽しかった昔の話を指の動きを交えて語るのですが、その姿にようやく年相応の男の子を見ることができるのでした。。。

2012年5月 1日 (火)

銀河鉄道の夜②

細野晴臣さんが生み出す幻想的な音楽と共に、暗闇の中を何かが蠢くような映画の始まり…


それは、銀河という未知の世界への不安や、何か…表現しづらい怖さのようなものを感じさせます。

そこから続く解き放たれたような俯瞰からの日常世界。だけどまだ得体のしれない不安は残っていて、教室の場面になってようやく安堵感に包まれるような気がしました。


そこで登場するのは人間の子供たち──ではなく擬人化された猫たち。


その愛らしい姿は違和感がなく、むしろワクワクするような不思議さが増すような気がしました。

この猫たちについてはTEICHIKU RECORDSより出ているサウンドトラック〜NOKTO DE LA GALAKSIA FERVOJO/細野晴臣 銀河鉄道の夜〜にて原案者のますむらひろしさんがコメントを寄せていて、最初何度も人間の顔で試してみたことや、猫たちによって世界は気負いなく、自然に呼吸し始めたことなどが綴られています。


そんな猫たちが受ける授業の黒板にあるのは星図。そこに主人公の少年ジョバンニは‘何か’を見ます。それは彼がすでに広大な世界へと誘われていることを予見させているようでした。

一方で注目したいのは彼を取り巻く環境です。


学校帰りに1人で歩く姿や先生との会話から彼が抱えている問題、孤独感が伝わってきます。


柔らかな絵に反する冷たい状況…
そんな彼を気にかける同級生のカムパネルラ。。。

美しい糸杉の風景が更に淋しさを強くさせるようで、、、宮沢賢治の作品は優しさを備えながらも、人生における不条理さをいつも表現しているように思いました。

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